法人の相続で気をつけろ!!

法人の相続は、個人の相続とは異なる注意点がいくつかあります。まずご理解いただきたい重要な点は、法人は相続人になることはできないということです。相続は自然人(個人)の間でのみ発生します。

しかし、法人が関わる相続のケースは様々であり、それぞれで気を付けるべきポイントがあります。主なケースと注意点は以下の通りです。

1. 法人に対する遺贈

  • 遺言による財産の遺贈: 個人が亡くなった際に、遺言によって法人に財産を遺贈することができます。この場合、法人は受遺者として財産を取得します。
  • 税金:
    • 法人税: 法人が遺贈によって財産を取得した場合、原則としてその財産は受贈益として法人税の課税対象となります。
    • 相続税: 通常、法人は相続税の納税義務者にはなりませんが、一定の条件(例えば、同族会社の株主である親族の相続税負担を不当に減少させる場合など)では、法人が相続税を課されることもあります。
    • みなし贈与・みなし相続: 遺贈ではなく、実質的に贈与や相続と同様の経済効果がある場合(例:著しく低い価額での財産譲渡など)は、税務上、贈与や相続とみなされることがあります。
  • 手続き: 遺言執行者の指示に従い、必要な手続き(不動産の名義変更など)を行います。

2. 被相続人が法人を経営していた場合(事業承継)

これは特に注意が必要なケースです。被相続人が会社のオーナー社長であった場合、その死亡により会社の経営や株式の取り扱いに大きな影響が出ます。

  • 株式の相続
    • 相続財産としての株式: 被相続人が所有していた株式は相続財産となり、相続人に引き継がれます。
    • 株式の評価: 相続税評価額を算定する必要があります。非上場株式の場合、評価方法が複雑になることがあります。
    • 株式の分散リスク: 相続人が複数いる場合、株式が分散し、経営権が不安定になる可能性があります。
    • 遺産分割: 株式を誰が相続するのか、遺産分割協議で決定する必要があります。
  • 経営権の引継ぎ
    • 後継者の選定: 生前に後継者を指名し、育成しておくことが理想です。
    • 代表者の変更手続き: 被相続人が代表取締役であった場合、速やかに後任の代表取締役を選任し、登記変更手続きを行う必要があります。
    • 従業員や取引先への影響: 経営者の変更は、従業員の士気や取引先との関係に影響を与える可能性があります。丁寧なコミュニケーションが求められます。
  • 会社の債務
    • 個人保証: 被相続人が会社の債務について個人保証をしていた場合、その保証債務も相続(相続人)の対象となります。相続人は、会社の経営状況や保証の範囲を正確に把握する必要があります。
    • 会社の借入金: 会社自体の借入金は、代表者が亡くなったからといって当然に免除されるわけではありません。会社が引き続き返済義務を負います。
  • 事業承継税制: 非上場株式等を後継者が相続または贈与により取得した場合、一定の要件のもとで相続税や贈与税の納税が猶予・免除される制度があります。活用できるか検討する価値があります。

3. 相続財産に法人の財産が含まれる場合(特殊なケース)

これは非常に稀なケースですが、例えば、被相続人が個人事業として行っていた事業を法人化する準備中に亡くなった場合や、清算中の法人の残余財産分配請求権などが考えられます。個別の状況に応じた専門的な判断が必要です。

4. 公益法人などへの寄付

相続財産を公益法人などに寄付した場合、一定の要件を満たせば、その寄付した財産は相続税の課税対象から除外されることがあります。

共通する注意点

  • 専門家への相談: 法人が関わる相続は、法律関係や税務関係が複雑に絡み合います。弁護士、税理士、司法書士などの専門家に早めに相談することを強くお勧めします。
  • 遺言書の確認: 遺言書がある場合は、その内容が最優先されます。まずは遺言書の有無と内容を確認しましょう。
  • 相続財産の調査: 法人に関連する財産(株式、債権債務、個人保証など)を正確に把握することが重要です。
  • 期限のある手続き: 相続税の申告・納付(相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内)など、期限のある手続きを失念しないように注意が必要です。※例:死亡日2024年1月10日 起算日:2024年1月11日 申告期限:2024年11月10日

特に中小企業のオーナー経営者の場合

事業承継は、会社だけでなく、従業員やその家族、取引先など多くの関係者に影響を与える重要な問題です。生前から事業承継計画を策定し、専門家のアドバイスを受けながら準備を進めることが、円滑な相続と事業の継続のためには不可欠です。

重要なポイント

  • 申告と納付は同じ期限: 相続税の申告書の提出と、税金の納付は同じ期限内に行う必要があります。
  • 期限日が休日の場合: 申告・納付期限の日が土曜日、日曜日、祝日にあたる場合は、これらの日の翌日(次の平日)が期限となります。
  • 「知った日」とは: 通常は、被相続人が亡くなった日(死亡日)となります。しかし、海外にいてすぐに死亡の事実を知ることができなかったなど、特別な事情がある場合は、その事実を知った日が基準となることもあります。
  • 期限を過ぎた場合: 期限までに申告・納付を行わないと、無申告加算税や延滞税といったペナルティが課される可能性があります。

相続税の申告手続きは、相続財産の調査・評価、遺産分割協議など、多くの時間と手間がかかる場合があります。10ヶ月という期間は長いように感じられるかもしれませんが、実際にはあっという間に過ぎてしまうことも少なくありません。

そのため、相続が発生したら、できるだけ早めに手続きに着手し、必要に応じて税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

上記は一般的な注意点です。具体的な状況によって対応すべき事項が異なりますので、株式会社CRANEにご相談ください。

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