家族信託とは?昔の家督相続との違いと流れを解説!

目次

家族信託とは?

家族信託とは、特定の目的(例:高齢になった親の財産管理)のために、信頼できる家族に財産の管理や処分を任せる仕組みです。財産を託す人を委託者(父)、財産を託される家族を受託者(子供)、そしてその財産から利益を得る人を受益者(父)と呼びます。多くの場合、委託者と受益者は同じ人です。

家族信託は、法的拘束力のある契約に基づいて行われます。この契約により、受託者は信託された財産を、受益者のために管理・運用することが義務付けられます。これにより、認知症などで判断能力が低下した場合でも、本人の意向に沿った財産の管理や承継が可能となります。


昔の家督相続とは?

家督相続とは、明治時代から昭和22年まで存在した制度で、戸主の地位と財産を原則として長男が単独で受け継ぐというものです。これは、家制度を基盤としており、祖先から受け継がれてきた家を絶やさないことが重視されました。

家督相続は、財産を巡る争いを防ぎ、家の存続を優先するための仕組みでした。しかし、個人の財産権が制限され、特定の人物にのみ財産が集中するため、平等性に欠けるという問題もありました。


家督相続から家族信託への流れと違い

歴史の流れ

  1. 家督相続の時代(旧民法): 長男が家の財産をすべて相続。
  2. 現行民法の時代(昭和22年~): 男女平等の観点から家督相続が廃止され、法定相続が導入されました。これにより、配偶者や子供たちが公平に財産を分けられるようになりました。
  3. 現代(家族信託の普及): 法定相続では対応しきれない**高齢化社会の問題(認知症対策など)**に対応するため、柔軟な財産管理・承継方法として家族信託が注目されています。
項目家督相続家族信託
法的根拠旧民法信託法
目的家の存続と祭祀の承継財産管理・承継の円滑化
財産承継者原則として長男(戸主)委託者が指定した家族(受託者)
受益者戸主委託者が指定した者(通常は委託者本人)
自由度非常に低い(法で定められている)高い(契約で自由に設計可能)
主な対象家のすべての財産信託契約で定めた特定の財産

家督相続は、家を単位とした強制的な承継であり、個人の意思が反映されにくいものでした。一方、家族信託は、個人や家族の状況に合わせて自由に設計できる柔軟な仕組みです。少子高齢化が進み、多様な家族の形が生まれている現代において、家族信託は個々のニーズに応える有効な手段となっています。

家族信託の種類10選

家族信託は、その目的や内容に応じて様々な形があります。ここでは代表的な例を紹介します。

  1. 自己信託: 財産を持つ自分自身が受託者となり、自身の財産を信託財産として管理します。
  2. 二人家族信託: 夫婦間、親子間などで、一方の財産を他方が管理する信託です。
  3. 複数受益者信託: 複数の受益者(子どもたちなど)が信託財産から利益を得る信託です。
  4. 後継ぎ遺贈型受益者連続信託: 受益権を次の世代に引き継ぐことができる信託で、何世代にもわたる資産承継が可能です。
  5. 特定目的信託: 特定の目的(孫の教育資金、ペットの飼育費用など)のために信託を設定します。
  6. 遺言代用信託: 遺言書のように、死亡後の財産承継を定めた信託です。
  7. 倒産隔離信託: 受託者や委託者の倒産から信託財産を守ることを目的とした信託です。
  8. 不動産管理信託: 不動産の管理や売却を目的とした信託です。特に高齢者の不動産売却に適しています。。
  9. 任意信託: 法律ではなく、当事者間の合意(信託契約)によって設定される信託です。ほとんどの家族信託がこれに該当します。
  10. 一般的な家族信託: 自身の財産を家族に信託し、管理・運用を任せます。
  11. 二次相続対策信託: 自身の死後、配偶者が財産を管理し、配偶者の死後は次の世代に引き継ぐ仕組み。
  12. 空き家対策信託: 離れた実家などを信託財産とし、管理や売却を家族に任せる。
  13. 事業承継信託: 会社の株式などを信託財産とし、後継者にスムーズに引き継ぐ。
  14. 後見制度代替信託: 認知症などにより判断能力が低下した場合に備え、生活費などの管理を任せる。
  15. ペット信託: 飼い主の死後、ペットの世話に必要な資金を信託する。
  16. 障がい者支援信託: 障がいを持つ子供の生活を支えるため、財産を信託する。
  17. 共有不動産信託: 兄弟で共有する不動産の管理を信託する。
  18. 遺言代用信託: 遺言書と同様に、死後の財産の承継先を指定する。
  19. 受益者連続型信託: 財産の承継先を、受益者の死後も連続して複数世代にわたって指定できる。

最後に

家族信託は、複雑な相続や財産管理の悩みを解決する、現代の新しい選択肢です。自分の想いを形にし、大切な家族に安心して財産を引き継ぐために、専門家への相談も視野に入れながら、検討してみてはいかがでしょうか。

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