
日本とアメリカの相続税には、いくつかの重要な違いがあります。主な違いは以下の通りです。
1. 基礎控除額
- アメリカ:
- アメリカの『連邦遺産税』基本控除額は、2024年時点で1人あたり1361万ドル(約20億3000万円)と非常に高額です。
- これにより、ほとんどの一般家庭では相続税が発生しません。
- 日本:
- 基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。
- アメリカと比較すると基礎控除額が低いため、より多くの人が相続税の対象となります。
※ 贈与税との関係 アメリカでは、相続税と贈与税が同一の控除枠内で計算されるため、生前贈与をしても控除枠内で調整 されることが多く、実際に贈与税を支払うケースは少ないです。
※州による違い アメリカでは、「連邦資産税」とは別に、州によっては州独自の「資産税」が課される場合があります。
2. 税率
- アメリカ:
- 連邦遺産税の最高税率は40%です。
- 日本:
- 相続税の最高税率は55%と、アメリカよりも高くなっています。
- 贈与税:日本の贈与税の非課税枠は年間110万円までと低く、アメリカに比べて資産の生前移転が難しいです。
3. 制度の違い
- アメリカ:
- 連邦遺産税に加えて、州によっては州独自の遺産税が課される場合があります。
- 相続税と贈与税が一体化しており、生涯を通じて一定額まで控除が受けられる制度です。
- 日本:
- 贈与税と相続税は別々に課税されます。
- 一定の条件下の贈与は相続税と一体化して計算されるケースもあります。
4. 納税義務者
- アメリカ:
- 遺産税の納税義務者は被相続人となります。
- 日本:
- 相続税の納税義務者は遺産を受け取る相続人となります。
5. 遺産分割
- アメリカ:
- 遺産分割には「プロベート」と呼ばれる裁判所の手続きが必要になる場合があります。
- 日本:
- 相続人同士の話し合いで遺産分割を行うことが一般的です。
資産家の海外移住について
- 連邦目的:
- 相続税や所得税などの税金対策、より良い生活環境、子供の教育など、さまざまな理由で海外移住を検討する資産家がいます。
- 注意点:
- 日本には、相続税回避を目的とした海外移住に対する規制があり、例えば、相続人と被相続人が共に10年以上海外に居住している必要があるなどの条件があります。
- また、海外移住をしても、日本国内の資産には日本の相続税が課税されます。
- さらに、1億円以上の有価証券などを保有して海外移住をする場合には、含み益に課税がされます。
結論
- アメリカの相続税は、基礎控除額が高いため、多くの人にとって無関係ですが、日本は基礎控除額が低く、税率も高いため、相続税の負担が大きくなる可能性があります。
- 海外移住は税金対策になる可能性がありますが、多くの制約やリスクも伴うため、慎重な検討が必要です。
- 海外移住に関しては、税金面だけではなく、生活環境、言語、コミュニティ、子供の教育など、さまざまな要素を総合的に考慮する必要があります。