父の相続について、相続関係図と財産の内訳から法定相続分と相続税額を計算してみたよ。まず、法定相続分と相続税額について、ブログ記事風にまとめてみたから参考にしてね。

相続の裏側:父の財産と家族のリアルな選択

父が認知症になり、介護施設に入所してから数年。家族みんなで支え合ってきたけど、先日、父が88歳で他界しました。父の死後、私たち家族が直面したのは、財産の相続という現実です。
家族の構成と父の財産はこんな感じでした。
- 家族構成
- 父(享年88歳)
- 母(92歳で他界すると仮定)
- 長男(55歳、開業医)
- 次男(51歳、個人事業主)
- 長女(46歳、既婚、子供2名)
- 父の財産
- 土地:1億円
- 普通預金:6,000万円
- 有価証券:4,500万円
- 生命保険:2,000万円(受取人は母)
父の介護費用は月20万円。父が88歳で他界するまでの10年間で、総額2400万円を介護費用として使いました。そのため、父の死後、普通預金は6000万円から3600万円に減少しました。生命保険金は、父の死亡後に母が受け取りますが、これは母の固有の財産となり、相続財産には含まれません。
相続税を計算する際の遺産総額は、土地(1億円)、普通預金(3600万円)、有価証券(4500万円)の合計 1億8100万円 となります。
相続税の計算:専門家に相談してわかったこと
父の相続財産について、相続税の計算をしてもらいました。
1. 法定相続分
法定相続分は、法律で定められた相続の割合です。今回の場合、相続人は母、長男、次男、長女の4人。
- 母: 2分の1
- 子(長男・次男・長女): 合わせて2分の1
子の分の2分の1を3人で分けるため、それぞれが6分の1ずつとなります。
- 母: 1/2
- 長男: 1/6
- 次男: 1/6
- 長女: 1/6
です。
2. 相続税の計算
相続税は、まず遺産総額から基礎控除額を差し引いた「課税遺産総額」に税率をかけて計算します。
1. 基礎控除額の計算
基礎控除額は、3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数) で計算されます。
- 法定相続人の数: 4人(母、長男、次男、長女)
- 基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 4人) = 5,400万円
2. 課税遺産総額の計算
- 課税遺産総額 = 遺産総額 – 基礎控除額
- 課税遺産総額 = 1億8100万円 – 5,400万円 = 1億2,700万円
3. 相続税の総額の計算
課税遺産総額1億2,700万円を法定相続分で分割し、それぞれに相続税率をかけ、各人の相続税を合計します。
- 母:1億2,700万円 × 1/2 = 6,350万円 → 相続税:6,350万円 × 40% – 170万円 = 2,370万円
- 長男:1億2,700万円 × 1/6 = 2,116万6,666円 → 相続税:2,116万6,666円 × 15% – 50万円 = 267万5,000円
- 次男:1億2,700万円 × 1/6 = 2,116万6,666円 → 相続税:2,116万6,666円 × 15% – 50万円 = 267万5,000円
- 長女:1億2,700万円 × 1/6 = 2,116万6,666円 → 相続税:2,116万6,666円 × 15% – 50万円 = 267万5,000円
相続税の総額は、これらの合計 3,172万5,000円 となります。
今回のケースを解決する方法として、以下のような3つの方法が考えられます。

1. 遺言書の作成
父が元気なうちに遺言書を作成しておくのが最も有効な対策の一つです。遺言書で遺産分割の方法を指定しておけば、相続人が複数いる場合でも、遺産分割協議の手間や争いを避けることができます。
例えば、今回のケースであれば、以下のような指定が考えられます。
- 長男:家業を継いでいる長男には、自宅の土地と建物、事業用の資産を相続させる。
- 次男:建設業を営む次男には、事業に必要な資金として普通預金の一部を相続させる。
- 長女:結婚して家庭を持っている長女には、有価証券や現金の一部を相続させる。
- 母:配偶者である母には、老後の生活を保障するため、生命保険金とは別に、普通預金や有価証券の一部を相続させる。
このように、家族それぞれの状況や意向を考慮して遺産分割の方法を指定しておくことで、相続税対策にもつながります。
2. 生前贈与
生前贈与は、父が生きているうちに財産を子供や孫に分け与える方法です。
- 暦年贈与:年間110万円までなら贈与税が非課税となる制度です。父が元気なうちに、毎年少しずつ子供や孫に贈与することで、将来の相続財産を減らすことができます。
- 教育資金の一括贈与:孫の教育資金として、一括で贈与することも可能です。贈与された資金は、教育費として使われる限り贈与税がかかりません。
- 相続時精算課税制度:一定額まで非課税で贈与できる制度です。2500万円までの贈与であれば、贈与税がかかりません。ただし、相続時に贈与された財産を相続財産に含めて計算するため、相続税の節税にはなりませんが、計画的な資産移転が可能です。
3. 生命保険の活用
生命保険は、受取人を指定することで、特定の人物に財産を残すことができる有効な手段です。また、保険金には非課税枠が設定されています。
- 非課税枠:500万円 × 法定相続人の数
- 今回のケース:500万円 × 4人 = 2000万円
父が生命保険に加入し、受取人を法定相続人に指定しておくことで、非課税枠を活用することができます。
例えば、今回のケースでは、母が生命保険金2000万円を受け取ることになっていましたが、これを長男や次男、長女にも一部ずつ指定しておくことで、非課税枠を最大限活用し、相続税を節約することができます。
これらの方法を組み合わせることで、相続税の負担を軽減し、家族間の争いを防ぐことができます。ただし、それぞれの方法にはメリット・デメリットがあり、家族の状況や財産の内容によって最適な方法は異なります。専門家である税理士や弁護士に相談し、事前に計画を立てることが重要です。
注意点
- 配偶者である母は、「配偶者の税額軽減」という制度を利用できます。これにより、母が実際に支払う相続税は0円となります。
- この計算はあくまで法定相続分に基づいたものです。実際の遺産分割協議で、誰がどの財産をどれだけ受け取るかによって、実際の相続税額は変動します。
- 生命保険金は非課税枠(500万円 × 法定相続人の数)があり、母が受け取った2000万円は課税対象外となります。
今回、父の相続を通じて、相続について深く考えるきっかけになりました。元気なうちに家族で話し合い、対策を立てておくことがいかに大切か、身をもって知りました。これから相続を控えている方は、ぜひ早めに専門家に相談することをおすすめします。