はじめに
「新NISA」の登場で、資産形成への関心が高まっています。特に50歳を迎え、老後資金について真剣に考え始めた方もいるでしょう。「今から始めても遅いのでは?」と不安に感じるかもしれません。
しかし、新NISAの非課税メリットを最大限に活用すれば、50歳からでも十分な資産形成が可能です。この記事では、50歳から15年間、「月5万円」を積立投資した場合に、65歳時点でどれくらいの資産を築けるのかを、利回り別・積立額別にシミュレーションし、その結果を詳しく解説します。

50歳から「月5万円」積立投資の基本設定
今回のシミュレーションでは、以下の条件を設定します。
項目 | 設定値 | 備考 |
開始年齢 | 50歳 | |
終了年齢 | 65歳 | 15年間を想定 |
積立期間 | 15年間 | 50歳〜64歳まで |
毎月の積立額 | 5万円 | 年間60万円 |
投資方法 | 新NISAの「つみたて投資枠」などを利用した積立投資を想定 | 利益が非課税になる点を活用 |
シミュレーション結果①:利回り別・65歳時点の資産総額
毎月5万円を15年間(合計元本900万円)積み立てた場合、運用利回りによって最終的な資産額がどれだけ変わるかを見てみましょう。
運用利回り(年率) | 65歳時点の資産総額(概算) | 運用益(概算) |
0%(貯金のみ) | 900万円 | 0円 |
3% | 1,165万円 | 265万円 |
5% | 1,332万円 | 432万円 |
7% | 1,525万円 | 625万円 |
解説:運用利回りの重要性
- 元本は900万円:15年間、毎月5万円を積み立てた元本(自己資金)は900万円です。
- 3%でも265万円の差:銀行預金(0%)と比べ、現実的な利回りとされる3%でも、265万円もの運用益が生まれています。これが福利の力です。
- 7%なら625万円の運用益:より高い利回り(例えば、世界株式インデックスファンドの長期平均リターンに近いとされる7%)が得られた場合、元本900万円に対し625万円もの利益が非課税で手に入ります。
50歳からでも、新NISAを活用し、長期・分散・積立を意識した投資を行うことで、将来の老後資金に大きな上乗せ効果をもたらすことがわかります。
シミュレーション結果②:積立額別・利回り5%での資産総額
次に、利回りを年率5%に固定し、毎月の積立額を変えた場合の資産総額を見てみましょう。
毎月の積立額 | 15年間の元本総額 | 65歳時点の資産総額(利回り5%) |
3万円 | 540万円 | 799万円 |
5万円 | 900万円 | 1,332万円 |
7万円 | 1,260万円 | 1,865万円 |
解説:積立額アップのメリット
- 積立額に比例して資産額もアップ:当然ながら、積立額を増やせば、最終的な資産額も大きく伸びます。
- 7万円積立で約1,865万円:無理のない範囲で積立額を増額できるなら、老後の安心感が大きく高まります。月7万円(年間84万円)まで積立できれば、1,800万円超えの資産も視野に入ります。
ただし、無理な積立は継続を困難にするため、現在の家計状況をよく見極めて、続けられる金額を設定することが最も重要です。

50歳からの新NISA活用のポイント
50歳から積立投資を始めるにあたり、特に意識したいポイントを解説します。
1. 「つみたて投資枠」を最優先で活用する
新NISAの「つみたて投資枠」は、金融庁が定めた長期・積立・分散投資に適した投資信託のみが対象です。選定されているファンドは、信託報酬が低く、世界経済の成長の恩恵を受けやすいものが多いため、初心者からベテランまで安心して利用できます。非課税枠をフル活用しましょう。
2. リスクとリターンのバランス
運用期間が15年と限られているため、過度なリスクを取ることは避けるべきです。しかし、リスクを避けすぎて利回り0%の貯金にとどまるのも機会損失です。
- おすすめの投資対象:全世界株式(オールカントリー)やS&P500などのインデックスファンドをメインとし、成長と分散を両立させるのがセオリーです。
- 資産配分の見直し:年齢が上がるにつれて債券や現金の比率を上げる「年齢に応じた資産配分(ターゲット・デート・ファンドの考え方)」も参考に、定期的に見直すことが大切です。
3. 継続することが最大の成功要因
投資で最も重要なのは**「継続すること」**です。市場の価格変動に一喜一憂せず、決めたルールで淡々と積み立てを続けることが、複利効果を最大限に生み出すカギとなります。

まとめ:50歳からでも遅くない!
今回のシミュレーションで、50歳から「月5万円」の積立投資を15年間続けた場合、利回り次第で数百万円単位の運用益が期待できることがわかりました。
投資の力(利回り5%の場合) | 貯蓄のみ(利回り0%の場合) |
1,332万円 | 900万円 |
差額 432万円 |
新NISAという強力な制度を最大限に活用し、「老後資金2,000万円問題」の解決に向けた一歩を踏み出しましょう。今日があなたの資産形成の「最良の開始日」です。